予備校レポート Yobiko Report

「佐野らーめん店」で新しい人生を歩んでいく受講生や講師の方たちを、佐野らーめん予備校スタッフが直撃取材しました。

13

「ライス出さないの?」結果、求めるのは顧客満足。
それは異業種出身だからこそ気づける視点の強みがあるから。

ゲスト
らーめん大金
大金 純一さん
作成日 2024.01.22

店舗見学授業の講師をお願いしている『らーめん大金』。佐野らーめんの大人気店のひとつです。10年以上にもわたりそのトップグループを走り続けられている秘訣や、これから佐野らーめんでの独立を目指す方へのアドバイスを大金さんご夫婦にうかがってきました。

業界第一線で活躍する店主からもらえる生の声。

佐野らーめん予備校では、実習や座学を主にカリキュラムが組まれていますが、その他に、実店舗見学も重要な授業のひとつで、らーめん大金はその一店となっています。実際に厨房を確認できたり、大金さんご夫婦のお話や質疑応答もあったりと、現場ならではの生の情報を得られる絶好のチャンスです。「ご希望があれば、仕込みの見学も可能ですし、店舗経営についての話など、可能な限りオープンに対応させてもらっています」とご主人。「感染症対策や、効果的なメニュー表、目を引く看板などのコツなど、より具体的な話もさせていただいてます」と奥様。成功している現役ラーメン店主さんからのアドバイスは貴重で説得力のある人気の授業となっています。では、いったいどのようにして多くの集客を続けられているのでしょうか。

老舗での修行を経て作り出した自信の味。

前職は建築関係のセールスマンだったご主人。35歳の時に一念発起し、2002年にらーめん大金を創業しました。そこから遡ること20年、高校時代にアルバイトをしていたのが自宅からすぐ近くにあった佐野らーめんの老舗『おぐら屋』。会社員時代にも副業として働いていた時期もあったそうです。らーめん大金のラーメンをいただくと、程よいコシのある麺と、さっぱりながらもふくよかなコクあるスープが印象的で、たしかに『おぐら屋』の系譜が感じられます。「創業時から変わらない味。老舗仕込みのクオリティを守り続けている。」と言うご主人。しかし、当初の2、3年は集客にたいへん苦労したそうです。

集客成功のきっかけは無料券とクチコミ。そしてテレビ。

新しい店舗では、水も違えば調理器具の勝手も違う。新品の寸胴は、1ヶ月かけて味を馴染ませ、思い通りの味を出すために、試行錯誤を繰り返した。何とかオープンにこぎつけたが、やっと仕上げたスープも1日の終わりには大量に処分し、自慢の餃子も食べてもらえない日々が続いていました。その時考えた末に思いついたのが、チラシに餃子割引券を付けて、ご近所に配り歩くことだった。すると、1割程の方がチラシを持って来てくれて、美味しいと!さらにその方たちがリピーターとなり、徐々にクチコミで評判が広まっていき、今では餃子がないと帰ってしまう方までいるという。お店の立地的にも住宅地にあったため、ご近所の方を大切にしたいという思いからチラシとクチコミで集客につなげてきたが、更なる好循環が生まれたのです。テレビで、佐野市民の方においしい佐野らーめんを聞いて廻るという企画が放送。その中で『大金』の店名が何人かの方から挙がったことをきっかけに、放送以降、かつてないほどのお客様が来店したと言います。

お客様に、大金の何に満足してほしいのか?

しかしながら、このようなケースは一時的な話題で収束してしまうことも少なくありません。らーめん大金はなぜ集客を継続できたのでしょうか。その理由は大きく2つあります。ひとつは、商品力。味のクオリティが認められたことは前述の通り。そして、商品力を支える大切な要因が値段です。690円というリーズナブルにラーメンを提供できているのも、食材ロスをなくし原価を最大限に抑えるための信念が背景にあるのです。例えばラーメンにライスを付けたいと希望するお客様は一定数います。お店としてはお客様のためにライスを提供したいと思うのは当然です。もし信念を曲げなんとなく流れのままにライスを取り入れてしまったら…おそらくライスが売れ残る→チャーハンにする→チャーハンが売れない→ランチメニューも開発…これでは食材ロスや手間ばかりが増え、悪循環に陥り原価が膨らむ一方となります。そうなると、販売価格を上げざるえません。だから創業以来らーめん大金のメニューには、ライスはないのです。ラーメンを690円で提供するために。それはお客様のために。

待ち時間や、空間も含めてのお客様の評価。

継続的な集客ができるもうひとつの理由は、施設・サービス品質を通したあくなき顧客満足の追求です。「おいしいラーメンを作っていればいいっていう時代ではないです」とご主人が言えば、「待ち時間や、空間も含めてのお客様の評価ですからね」と奥様。例えば、大型チェーン飲食店では当たり前になっている店頭の予約システムをコロナ禍にいち早く導入。コロナが収束しようとしている今でも、お客様にとって無駄な待ち時間が削減され、有用なものになっています。また、ご夫婦ともに建築業界でのキャリア・さらに奥様は以前、福祉事業に携わっていた経験もあったことから、お店はバリアフリー設計になっています。車椅子でも移動がしやすいようにスロープを設置したり、間取りに段差がない仕様にしています。

異業種での経験が様々な気づきを与えくれている。

ラーメンのクオリティと値段に加えて、経営・顧客満足において多角的な視点を持って運営されているらーめん大金。その気づきやアイデアはどこから生まれるのか、奥様は「夫婦ともども、前職がラーメン以外の業界だったことは大きいです。その業界の知識を得ることができたし、社会人・会社員としての振る舞いを学ぶ中で、顧客満足の考え方も養われました」ご主人も「正直、この(ラーメン)業界だけにいたら、視野が狭くなってしまうと思います。飲食経験がない方にとっては、佐野らーめんへのチャレンジは大変だとは思いますが、これまでの経験はきっと役に立つはずです。」と、ご夫婦は口を揃えて語ります。そして、らーめん大金さんでは、若いスタッフが生き生きと仕事しているという言葉をお客様からいただくという。スタッフ全員が同じ気持ちでらーめんを提供することで現れる一体感。チームワークやスタッフ教育などでも企業勤めの経験が生きているのかもしれません。

教えすぎない。自ら考えることで体得する大切さ。

らーめん大金と予備校との関わりを、もうひとつご紹介。現在、予備校の卒業生を社員として修行させてもらっています。その卒業生は2024年中を目標に自分の店舗を構える計画で邁進中。今厨房では、餃子を担当しており、徐々に麺の習得にも取り組み始めています。ご主人の若かりし頃は、見て学ぶことが当然だったそうですが、今の時代に合った指導を心がけ、口頭での説明も加えているとのこと。ただし、全てを教えてしまうのではなく、あくまでアドバイス程度に。修行生は、与えられるばかりでなく、向上心を持ち自ら考え、いかに行動に移すかが大切で、そうすることが体得につながると思っています。

一番大切なのは、やっぱり気持ち。そして覚悟。

店舗のバリアフリー設計からなのか、かつて車椅子の方からアルバイト応募が来たこともあったそう。「ウチでは働くのは難しいかな」と正直にお断りしたものの、彼の熱意に押されるカタチで採用。他のスタッフと同様の待遇にもかかわらず、しっかりと業務に取り組んでくれたそうです。そんな彼は、現在東京でラーメン店を構えているとのこと。そう、まさに本気ですれば何でもできる!ということです。ご主人もらーめん大金の創業にあたっては「子どもの頃の思い出の味であるおぐら屋のラーメンに憧れて、これしかない」という覚悟を持って、その一歩を踏み出しました。ご夫婦は口を揃えて言います。「一番大切なのは、やっぱり気持ち」と。創業から17年たった今も、そしてこれからも、情熱溢れる夫婦二人三脚の勢いは止まりそうにありません。

店舗情報

予備校レポート一覧

「独立の夢を叶えた卒業生」記事はこちら