予備校レポート Yobiko Report

「佐野らーめん店」で新しい人生を歩んでいく受講生や講師の方たちを、佐野らーめん予備校スタッフが直撃取材しました。

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美味しい一杯のために、
手は抜かない、努力は惜しまない。
新たな佐野名物、塩レモンラーメンの「藤谷」。

ゲスト
青竹手打ち麺 藤谷
店長 藤谷さん
作成日 2022.03.28

藤谷さん

今回のレポートは、塩レモンラーメンでおなじみの「藤谷」。佐野らーめん予備校の講師経験もある藤谷さんに、ラーメン店を出すきっかけや、修行時の思い、メニュー開発時の苦労等、様々な観点からお話をお聞きしました。

地元佐野市に貢献するため、ラーメン店で独立することを決意。

接客業が好きで、いつかは自分で飲食店を経営したいと思っていた藤谷さん。生まれも育ちも佐野だったので、できれば地元貢献につながるような店にしたいと考えたそうです。「自分が好きなラーメンならば、地元にも貢献できると思いましたが、スープや麺のつくり方が分からなかったんです。やはりラーメンの基礎から学ぶために、修行が必要だと考えました」。基礎を知らなければ、応用もできないと考えた藤谷さんは、実際にラーメン店で働いてみる決意をします。藤谷さんの強い意思が運を味方につけたのか、そう思った矢先に佐野市内のラーメン店で従業員を募集している記事を発見。迷わず応募したことが、ラーメン修行の一歩となりました。

修行期間の中身を濃くするかどうかは、自分次第。

「修行先のお店では、約2年かけてスープづくりから麺づくりまで全て教えてもらい、その後独立しました。」と藤谷さん。修行期間としては、決して長くはないですよね?と質問を投げかけると「時間や期間ではなく、学んでいる時間をどのように過ごすか、中身が重要だと思っています。短くても長くても、何も習得できていなければ独立はできないですよね。とにかく集中して学びました」。藤谷さんは、最初から独立することが念頭にあったため、師匠の指導を熱心に聞き入り、早い段階で知識や技術を習得。佐野らーめんに使われる伝統の製麺技法「青竹打ち」も身につけ、“全て大丈夫”と自信がついた時に、修行期間を修了しました。

美味しいと思うまで、試作は何度も行った。

お店の看板メニュー『塩レモンラーメン』は、当初はメインではありませんでした。メニュー写真を見たお客様から“これは何?”と聞かれることが多く、必ず「美味しいから食べて。」と説明。すると一度食べた方は美味しさに満足してリピーターになり、さらにSNS 等で広がっていきました。私たち取材スタッフも食べましたが、レモンとの相性は抜群です。ラーメンとレモンが合うってどうやって思いついたんですか?と聞くと、「私の直感です(笑)」と即答。「最初は思うようにいかなかったんですよ。でも絶対に合うはずだって根拠のない自信があって、納得できるまで何度も試作を重ねるうちにこの味に到達したんです」。最後に、レモンの輪切りを何枚にするか。厚さはどのくらいがいいか。最後の調整まで徹底的にこだわったそうです。「お客様に提供するのだから美味しいのは当たり前。見た目の可愛さにもこだわりたかったんです」。ラーメンの見た目が可愛いかどうか、これは女性ならではの視点かもしれません。

お客様がいる限り、感謝を込めてお店を続けていきたい。

藤谷のオープンは2020年、藤谷さんの誕生日1月3日。まさに希望に満ちた船出でした。しかしわずか2ヶ月後、思いもよらぬ事態が降りかかってきました。そう新型コロナです。現在とは違い、世の中が目に見えぬ存在にとても怖がっていた時期で、来店数はかなり少なかったそうです。当時の状況を聞くと「逆にラッキーだって思いました。どん底だから、その下はないと思ったんです。あとは上がって行くだけ。私負けず嫌いな所もあるんですよ。」と、笑いながら答える藤谷さん。決して強がっている雰囲気ではなく、心からそう思っていることが伺えます。「それに、お客様の影響も大きいと思います。“頑張ってよ”って応援してくれる方が多かったんです。頑張って恩返しできるように、スタッフ皆んなでお店を続けていこうと思いました」。味はもちろん、店の雰囲気も良いからお客様に愛される。次第に、佐野だけでなく県内、そして県外からのお客様も多くなっていったそうです。

お客様には、納得のいく美味しいラーメンしか提供しない。

「藤谷」の麺は、藤谷さんの青竹によるもの。毎日丹精込めてつくっています。ある時、自身が納得できない麺をつくってしまったことがあったそうです。「これは失敗だって思ったんです。日曜日の書き入れ時だからお客様は多くいらっしゃいます。そんな時に失敗したラーメンを提供したら、“もうこの店には来ない”って思われてしまう。次がないと思ったので店を閉めました」。店頭には、“麺を失敗したので店を閉めます”という張り紙を出したそうです。「いらっしゃったお客様からは、そんなこと言う人は初めて見たよって、言われました(笑)」。目先の売り上げにこだわらず、お客様を満足させられないと思ったら、潔く店を閉めてしまう。そんな正直なお店だからこそ、多くのファンをつかんでいるのだと納得しました。

大切にしているのは、お客様第一の店づくり。

藤谷さんは女性のお客様も多いラーメン店。店づくりに、女性としてのこだわりを伺うと、「女性らしさは特に意識していないですよ」と教えてくれました。店内の壁の漆喰や柱のペンキを藤谷さん自身が塗った話も含め一通り聞いていくと、確かに性別ではなく、あくまでもお客様を第一にお店をつくっていることが分かってきました。例えば、メニュー。オープン当時から通っている方ならご存知だと思いますが、当初よりメニューの数が増えています。理由は、リピーターのお客様が多いからだそうです。「店に来て、いつも同じメニューだと飽きてしまいますよね。その日の気分に合わせて選べるように、少しずつ増やしていきました」。サイドメニューの餃子、チャーハン、唐揚げを始め、丼もの、おつまみなど多彩。「おにぎりは、お客様から“おにぎりを食べたい”と言われたのがきっかけです。全てお客様の声を具現化するわけではないのですが、お客様の声は大切にしていきたいですね」。

青竹手打ち麺にこだわるのは、美味しいというシンプルな理由。

藤谷の麺は、青竹手打ち麺。青竹打ちは、技術だけではなく力も必要になります。女性にとってはかなりの重労働になりますが、藤谷さんはどうしても青竹手打ちの麺を提供したいという強い思いがあります。「粉の塊を薄くしていく段階がとても大変なんですが、青竹打ちの麺はとても美味しいんです。コシがあって、麺の表面のツルツル具合もいい。美味しいって分かっているのだから、青竹打ちにはこだわってお客様に提供したいですね」。さらに、ラーメンのスープを全部飲み干すと、丼の底には“ありがとう”の文字があります。もちろんこれは、藤谷さんが来店されたお客様に伝えたい気持ち。味に感動し、スープを飲み干した時に、この文字を見て“ホッとする”。さらに藤谷さんの接客に気持ちもよくなる。この空間で食べるからこそ味わえる、他にはない美味しさだと思います。

店舗情報
  • ・店名:青竹手打ち麺 藤谷
  • ・住所:栃木県佐野市堀米町612-17
  • ・TEL:0283-88-9244
  • ・営業時間:11:00~14:00 (LO 14:00)、18:00~20:00 (LO 20:00)※麺、スープが無くなり次第
  • ・定休日:木曜日※定休日が祝日の場合は営業
  • ・座席数:18席(カウンター4席・テーブル席4席、座敷席10席)
  • 店舗公式instagramはこちら

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